【悼む】渡辺裕之さん、仮面ライダー役のため28年間も体形維持　デビュー時から完璧主義的一面

大正製薬「リポビタンD」のCMでお茶の間でも親しまれた、俳優渡辺裕之さんが3日、神奈川県内の自宅で亡くなっていたことが5日、分かった。66歳。所属事務所は同日、死因が縊死（いし）で家族が発見したと公表。妻の女優原日出子（62）は、ぼうぜん自失の状況だという。葬儀は密葬で執り行う。

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渡辺裕之さんを初めてインタビューしたのはデビュー映画「オン・ザ・ロード」の公開を2カ月後に控えた82年2月のことだ。

アタッシェケースからプロフィルと宣材写真を自ら取り出すセールスマンのようなしぐさに驚いた。当時から英語とドイツ語に堪能で、所属していた事務所に外国人モデルが多かったことから、そのマネジャーも兼任している、と聞いて新人離れした自己紹介ぶりに納得した。

取材後は乗ってきた250CCバイクで曲乗りを披露してくれた。隙のない筋肉質の体も印象に残った。1800キロを白バイで走破するデビュー作の和泉聖治監督が「この役は彼のもの。彼のための映画」と言い切る意味もわかる気がした。サービス精神と役作りに向き合う完璧主義的一面は25歳の当時から出来上がっていたように思う。

私生活でも最善を目指すところは変わらなかった。07年1月、東名高速で事故車に遭遇すると中にいた男性を救出し、自分の車にあった毛布でその体をあたためながら救急車の到着を待ったこともあった。

刑事から極道まで役柄の幅は広かったが、演技の端々にそんな正義感がにじんでいたように思う。

07年「仮面ライダー電王　俺、誕生！」に、当時最高齢の51歳の仮面ライダーとして登場し、話題となった。制作発表会見では、デビュー前の23歳の時にオーディションに落選したことも明かした。ライダーのための体形を28年にわたって維持していたことにもなる。

近年見かけたワイシャツ姿からも肩の盛り上がりは健在だったが、自身は年齢を重ねた体と完璧主義の間に違和感を覚えるところがあったのだろうか。【相原斎】

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