【現場から、】フランスの「若者向けクーポン」“日本のマンガ”に使い道集中

　フランスでは、若者にもっと文化に触れてもらおうと１８歳を対象に日本円で４万円近くの特別なクーポンが配られました。ところが、その使い道が「日本の漫画」の購入に集中しています。

　「使えるのは、本、映画、音楽、ショー、展覧会、ライブなどです」（フランス マクロン大統領）

　若者に人気の動画投稿サイト「ＴｉｋＴｏｋ」で利用を呼びかけるフランスのマクロン大統領。「カルチャーパス」は、フランスの１８歳全員がアクセス可能な３００ユーロ＝日本円でおよそ３万９０００円相当のクーポンです。より文化に触れてもらおうと、今年５月に導入されました。映画やショー、オペラなど、ほぼすべてのジャンルに使えるのですが・・・。

　「こちら、ずらっと並んでいるのは、日本の漫画です。カルチャーパスの使い道は、こうした日本の漫画に集中しているんだそうです」（富永高史記者）

　「買ったものを見せましょう！全部『鬼滅の刃』８巻から１６巻です！」（女性）

　多くの１８歳が使い道にと選んだのは「漫画」。制度開始とともに、漫画を大量購入したという動画が続々とアップされました。カルチャーパスで購入されたのはすべてのジャンルで合わせておよそ１２０万点ですが、漫画はおよそ５９万冊で、半分近くを占めています。一部メディアで「“漫画パス”になりつつある」と言われるほどです。

　「『進撃の巨人』の大きい版を１巻買いました。貯金を使わずにコレクションを始めることができるので、とても便利です」（漫画を買った男性）

　「私も『ＯＮＥ ＰＩＥＣＥ』をはじめ、たくさんの漫画を買おうと思っています」（漫画を買いに来た女性）

　注文した商品は必ず店舗に取りに行くことになっていて、漫画を購入した人のおよそ４０％が他の本も買っています。カルチャーパスの目的は「若者」と「文化に携わる人」との出会いを促進するということもあり、漫画人気は一役買っているのです。

　「カルチャーパスの素晴らしいところは、書店に人を呼び込むこと、書店に慣れていない若い人たちを呼び込むことです」（書店の店長）

　一方、この政策。来年に大統領選挙を控えたマクロン政権の人気とりの側面が強いという見方もあります。

　「確かに戦略的で、純粋な善意からではありませんが、それでも素晴らしいので、本当に文句が言えません」（１８歳女性）

　実際、若者からの支持率は発表前と比べて一時的に上がりましたが、先月の地方選挙は投票行動には結びつかず与党は惨敗。こちらは戦略の練り直しを迫られそうです。

　日本の漫画人気が再認識されたカルチャーパス。来年から対象年齢を広げて実施される予定です。

(リンク先に動画あり)